高松塚古墳(奈良県明日香村)の石室に描かれた壁画の修理が終わった。1972年に奈良県立橿原考古学研究所と明日香村による発掘調査で見つかった。2004年に劣化が発覚し、「白虎」の壁画は描線が見えなくなった部分もあった。結果として、石室は解体。壁画は約13年かけて修復されたが発見当時には戻らなかった。壁画は当分の間、古墳の外で管理されるが、文化庁は、石室と壁画を古墳に戻す方針を変えていない。発見当時に壁画を観察した猪熊兼勝本学名誉教授は「超一級の文化財の危機に直面し、関係者は最高の技術と努力で対応にあたってきた。この経験と貴重なデータを将来の文化財保存に生かすことが私たちの責務です」と話した。
【2020年3月27日 朝日新聞、4月2日 京都新聞に掲載】