仁徳天皇陵の調査報告書より文学部歴史遺産学科の一瀬和夫教授がコメント

 世界文化遺産登録された百舌鳥・古市古墳群(大阪府堺市)の一つ、仁徳天皇陵の第1堤を宮内庁と大阪府堺市が共同で発掘調査し、2020年3月に出土遺物の報告書をまとめた。直径約35センチの円筒埴輪列が発掘され、埴輪製造には複数の職人集団がかかわったとされることや、堤の上の平坦面に施された約10センチ大の石敷きが見つかったことなどがあげられた。堤の上の平らな部分まで石を敷いた痕跡が見つかったことはまれで、磐之媛命(いわのひめのみこと)陵(奈良市)に続いて2例目だという。文学部歴史遺産学科の一瀬和夫教授は「後世に古墳に土が積もったり人為的に整地したりした場合、高い部分の平坦面は最も影響を受けやすい。仁徳天皇陵は保存状態がよく、平坦面に石を置く工法がむしろ基本だったのではないか。各地の古墳の発掘成果も見直す必要がある」とコメントした。

【2020年7月21日 読売新聞・夕刊に掲載】


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