臨床検査学科が高校生向けイベント「バクテリア・バスターズ!」を開催

 8月7日(水)、高校生向けイベント「バクテリア・バスターズ! ~悪夢の細菌を化学で捕まえ、最終兵器を見つけよう!~ 」を本学啓成館で開催し、高校1年生から3年生の28人が参加しました。この体験イベントは、世界で問題となっている抗菌薬(抗生物質)に耐性を示す細菌(耐性菌)について理解を深め、化学反応を利用した耐性菌の検出実験や、検出した耐性菌と数種類の抗菌薬を反応させ、細菌の変化をスマートフォンのカメラ機能を用いて観察し、細菌に有効な薬を探しました。体験学習を通じて、中学・高校での学びが最先端の研究につながる魅力を紹介し、大学での研究活動に関心をもってもらうことを目的に行われました。

当日の主なプログラム(10:00~17:00)
・講義①「なぜ、細菌が抗菌薬(抗生物質)に強くなるのか」(講師:中村竜也准教授)
・講義②「化学反応を用いた耐性菌の検出と抗菌薬の作用について」(講師:藤原麻有助教)
・実験①「化学反応を用いて薬剤耐性菌を検出しよう!」
・実験②「スマートフォンを用いた抗菌薬による菌体変化の観察」
・ディスカッション・まとめ
・修了式

 このイベントでは、健康科学部臨床検査学科の中村竜也准教授と藤原麻有助教が講師を務め、同学部同学科2回生6人が実験のサポートにつきました。講義後の実験では、5つのグループに分かれ、最初の実験①で、薬剤耐性菌が疑われる6種類の大腸菌の菌株を酵素抽出液に溶かしたものを、3種類の試薬(PH測定用試薬フェノールレッドのみ、試薬+抗菌薬セフォタキシム、試薬+抗菌薬イミペネム)で色調の変化を観察し、より多く赤色から黄色に変化したものが最強の薬剤耐性菌となり、それぞれが判定しました。次の実験では、実験①で検出した大腸菌(最強の薬剤耐性菌)を培養し、菌の動きや形態をスマートフォンで観察し、動画を撮影しました。実験内容は、7種類の抗菌薬による大腸菌の動きや菌量、形態の変化をそれぞれ観察し、最後に消毒薬により菌が死滅する様子を観察しました。最後に、すべてのプログラムを終えた高校生の皆さんに「未来博士号」の授与が行われ、笑顔のうち終了しました。
 中村竜也准教授は「このイベントでは、世界的にも問題となっている薬剤耐性菌について高校生の時から考える重要性や、それらを大学で研究する意義について体験してもらうことを目的としています。自分が興味をもつことで学びが深まります。実験などを通して、研究に対する興味をもってもらう良い機会になればと思います」とコメントしました。

※本プログラムは日本学術振興会(JSPS)「令和元年度科学研究費助成事業(科学研究費補助金)(研究成果公開発表(B)(ひらめき☆ときめきサイエンス~ようこそ大学の研究室へ~KAKENHI))JP19HT0162」交付を受けて開催しました。「ひらめき☆ときめきサイエンス」は大学や研究機関で「科研費」により行われている最先端の研究について、その中に含まれる科学の興味深さやおもしろさを講義、実験等を通じて分かりやすく語りかけ、小学5・6年生、中学生、高校生の皆さんに科学のおもしろさを感じてもらう体験プログラムです。


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実験前の説明

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ピペットの使い方を指導

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3種類の試薬で判定

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7種類の抗菌薬をチューブに入れる

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スマートフォンで観察

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未来博士号の授与を受けた高校生の皆さんと

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