【経営学部】丸山ゼミが合同学習会を開催、洛中最古の酒蔵・松井酒造代表取締役が講演!

 530日(木)、経営学部の丸山一芳教授ゼミの3回生と4回生が合同学習会を開催しました。丸山ゼミには企業のイノベーションやアントレプレナーシップを学ぶ学生が所属しており、学外企業との連携プロジェクトにも積極的に取り組んでいます。
 講師には、江戸時代に創業した洛中最古の老舗蔵である松井酒造株式会社より代表取締役である松井治右衛門氏をお招きし、講演いただきました。

 松井氏は、東京の大学・大学院で法律を学んでいましたが、卒業後の進路について考えていた頃に父から「酒蔵を復活させる」と思いがけない連絡を受けました。父からの連絡をきっかけに京都に戻り、酒造りの修行期間を経て、2009年に酒蔵を復活させ、『神蔵』をはじめ個性的な日本酒を続々と造り出し人気を博しています。また、AR対応ラベルの開発、人気イラストレーターや声優とのコラボレーション等、これまでの酒蔵にはなかった新しいことにも積極的に取り組まれています。

 講演会では「転生の酒」をテーマに、創業の歴史、一度は途絶えた酒蔵の復活、鴨川蔵でしかできない酒造り、海外市場の開拓等についてお話しいただきました。日本酒造りへのこだわりや想い、変化を起こしづらいと思われる伝統産業においても新しいことに挑戦し続ける戦略を学びました。
 また講演会の最後には、丸山ゼミの学生から「大学生を中心とした若年層への日本酒の普及方法」について提案を行いました。学生の提案に対して松井氏から具体的な講評をいただき貴重な経験となりました。

【受講生のコメント(経営学部経営学科3回生 吉田永遠さん)】

 商品コンセプトとして品質本意であることが一番だとおっしゃっていました。加えて、ものづくり企業として品質だけにとどまらず、背景やストーリーを伝えたいというお考えが強く印象に残りました。それは、「AR対応ラベル」といった斬新なボトルのデザインなどにも具現化されています。スマホでかざすと製造の様子や蔵からのメッセージが動画で流れ、伝統を守りながら革新的なアプローチをとっている酒蔵であることが若者である私たちにもよくわかりました。また、「日本酒が軸だが自由でありたい」という思いから、酒粕を再発酵させたジンや和三盆を利用したラムなど日本酒以外にも多角的に展開されています。私も思いや考えの軸を持ちつつ、前例や過去にとらわれない「自由な発想」でゼミ活動や現在取り組んでいるビジネス&パブリックピッチ実行委員会に取り組みたいです。

【受講生のコメント(経営学部経営学科3回生 野田伊吹さん)】

 ご講演から学んだことは、「ネガティブな状況をポジティブに変換することで独自の価値を生み出すことの重要性」です。松井酒造では酒蔵を一から再建する際、昔ながらの雰囲気の蔵を建設できないならば、「最新の設備を投入する」「斬新なデザインにする」といった手法を取られました。それは、現代的な要素やデザインを取り入れた酒蔵とすることで若者や海外市場にアピールするという方針です。今後の戦略においても、スピリッツを使用した香水を作ってみたいという事業展開は興味深く、私も是非使用してみたいと感じました。現在、私は学生として企業と連携し新たな事業を展開するゼミ活動に参加しています。今回のご講演から、「学生だから企業に対して何も価値提案ができない」ではなく、「学生だからこそできる価値」を追求することが重要だと気付きました。

【担当教員のコメント(経営学部 丸山 一芳教授)】

 昨年度開催された「第1回ビジネス&パブリックピッチ」という学内ビジネスアイデアコンテストで「日本酒市場の活性化策」について発表し、優勝したメンバーが丸山ゼミに所属しています。これまで彼らを中心に、大学生向け日本酒市場の拡大をゼミで議論してきました。学生たちは松井酒造へ訪問し、蔵見学や試飲などを通じてお世話になりながら、若者にも飲みやすいその味わいや香りはもちろんのこと、蔵のおしゃれなバーカウンターや外国人の勤務、インバウンドの来訪客の多さに驚きながら調査を続けて来ました。酒蔵経営について調査を続けている私もゼミの学生たちに「老舗ベンチャー」や「アトツギベンチャー」ともいうべき経営手法について、ぜひ直接語っていただきたいということでお越しいただきました。素晴らしいご講演に感謝申し上げます。

2024年度一覧へ