理学療法学科4回生の研究論文が国際雑誌「sensors誌」「vibration誌」へ掲載!

 理学療法学科4回生の佐々木杏夏さん、永江帆乃嘉さんが共同筆頭著者、本学 理学療法学科重藤隼人助教が責任著者の研究論文が「sensors誌」に、古坂征大さん、安川慧さんが共同筆頭著者、重藤隼人助教が責任著者の研究論文が「vibration誌」にそれぞれ掲載されました!

左上から宮﨑 純弥教授、重藤隼人助教、兒玉 隆之教授
左下から安川慧さん、佐々木杏夏さん、永江帆乃嘉さん、古坂征大さん
  

 sensors誌はセンサーの科学と技術に関する研究を取り扱う論文が掲載される、オープンアクセスの査読付き国際雑誌です。近年、医工連携による取り組みにて、様々なセンサー(計測機器)やアプリケーションが医学に応用されています。
 またvibration誌は振動の科学と技術に関する研究を取り扱う論文が掲載される、オープンアクセスの査読付き国際雑誌です。近年、医工連携による取り組みにて、振動刺激を用いた様々な機器が医学に応用されています。
 Sensors誌、vibration誌ともに多くの医学研究者の論文が掲載されており、いずれもImpact Factorとよばれる学術雑誌の影響度を評価する指標が高く評価されている国際雑誌の1つであります。
 学部生の論文が査読付き国際雑誌に掲載されることは非常に珍しく快挙といえます!
 みなさん、本当におめでとうございます!

【研究概要について】

『視覚遮断が体幹の動的姿勢制御に与える影響:神経生理学的メカニズムの包括的なセンシング情報解析』
佐々木杏夏さん、永江帆乃嘉さん、重藤隼人助教(責任著者)

 研究は卒業研究(研究指導:理学療法学科宮﨑純弥教授、重藤隼人助教)で行った内容であり、視覚情報の有無による感覚再重み付けが体幹の運動制御指標にどのように影響しているか検証した研究になります。

研究内容の概要:
 視覚情報は静的姿勢制御に影響を及ぼしますが、体幹の動的姿勢制御にどのように影響するかは十分に明らかにされていません。本研究では、視覚情報の有無によって影響を受ける感覚重み付けが、体幹運動中の動的姿勢制御に及ぼす影響を調査しました。健常者を対象に2つの条件(視覚ありと視覚なし)で立位体幹屈曲-伸展課題を用いて、体幹運動角度と角速度、圧力中心(COP)、体幹筋活動、脳波活動を解析しました。その結果、視覚有無を分類するための重要な変数が特定され、視覚なし条件では最大COP前方変位と体幹屈曲角度が低く、最大屈曲角速度が速いことが示されました。また、切り替え相でPOz領域のα/β比は、視覚なし条件で高くなりました。これらの結果は、視覚遮断が運動における認知および感覚統合に関連する脳領域に影響を与えることを示唆しており、視覚遮断による感覚の再重み付けが運動制御に影響を与えることが示唆されました。

論文情報
Sasaki, A., Nagae, H., Furusaka, Y., Yasukawa, K., Shigetoh, H., Kodama, T., & Miyazaki, J. (2024). Visual Deprivation's Impact on Dynamic Posture Control of Trunk: A Comprehensive Sensing Information Analysis of Neurophysiological Mechanisms. Sensors (Basel, Switzerland), 24(17), 5849. https://doi.org/10.3390/s24175849
https://www.mdpi.com/1424-8220/24/17/5849

 

『腹部への振動と温熱刺激の組み合わせによる治療的疼痛抑制と神経生理学的反応の検証』
古坂征大さん、安川慧さん、重藤隼人助教(責任著者)

 研究は卒業研究(研究指導:宮﨑純弥教授、重藤隼人助教)で行った内容であり、振動刺激と温熱刺激を組み合わせた複合刺激を腹部に適用した場合に、疼痛抑制およびリラクゼーション効果についてどのように影響しているか検証した研究になります。

研究内容の概要:
 本研究では、腹部に振動と温熱刺激を組み合わせた複合刺激を適用することでどのような疼痛抑制効果と神経生理学的反応を調査しました。健常者を対象に、振動刺激のみを適用する条件と振動・温熱刺激を組み合わせた刺激を適用する条件を比較しました。その結果、圧痛閾値、快情動、自律神経、脳波活動において、2条件間で有意差は見られませんでした。ただし、複合刺激条件では、副交感神経活動の増加は疼痛抑制効果と関連しており、迷走神経が関与した神経生理学的相互作用を有している可能性があります。今後の研究で、これらの神経生理学的メカニズムと、直接物理刺激が難しい場合の遠隔刺激による疼痛緩和に対する複合刺激の臨床的可能性を検証する必要があります。

論文情報
Furusaka Y, Yasukawa K, Sasaki A, Nagae H, Shigetoh H, Kodama T, Miyazaki J.  (2024). Verification of the Therapeutic Pain Inhibition and Neurophysiological Response by Combined Vibration and Thermal Stimulation to the Abdomen. Vibration, 7(3), 791-801. https://doi.org/10.3390/vibration7030042
https://www.mdpi.com/2571-631X/7/3/42

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