【経営学部】地域一体型オープンファクトリーの学びを深める丸山ゼミ

 20241029日、経営学部経営学科3回生の丸山一芳ゼミに有限会社菊井鋏製作所より菊井健一代表取締役をお招きし、講演会およびワークショップを開催しました。
 菊井鋏製作所は1953年に和歌山県和歌山市で創業され、菊井社長は創業から3代目になります。理美容師が扱うプロ用シザーの専門メーカーとして、オリジナルブランドの製造販売、OEM生産、修理やメンテナンスのアフターサービス事業を展開しています。菊井社長は大学卒業後、菊井鋏製作所に入社すると、2016年に代表取締役に就任しました。当日は「産地のイノベーションと企業のカルチャーの共通点」をテーマにお話をいただきまた。地域の中小企業が創意工夫して経営に取り組む様子を具体的に語っていただき、学びのある講演会となりました。
 

 さらに菊井社長からは本業に加えて、和歌山県北部で展開する「和歌山ものづくり文化祭」の活動についてもお話をいただきました。木工、漆芸、金属加工、繊維等の産地としての和歌山を次の未来へと紡ぐための、新しい文化を育むために結成されたイベントです。本イベントの実行を担う和歌山オープンファクトリー推進委員会を2022年に発足させたのも菊井社長でした。新たに和歌山で巻き起こるオープンファクトリーの最新の情報を学ぶことができました。
 

引用:和歌山ものづくり文化祭HPより https://w-monodukuri.com/2024/10/01/sponsorship2025/

  

 2024111日、経営学部経営学科2回生の丸山ゼミが福井県鯖江市・越前市・越前町で開催された「RENEW/2024」に参加しました。このイベントは、持続可能な地域づくりを目指した工房見学イベントです。会期中は、越前漆器、越前和紙、越前打刃物、越前箪笥、越前焼、眼鏡、繊維の7産地の工房・企業が一斉に開放され、見学やワークショップを通じて、一般の人々が作り手の想いや背景を知り、技術を体験しながら商品の購入を楽しむことができます。
 丸山ゼミは、鯖江会場を中心に工房・工場見学やワークショップに参加しました。ものづくりの産地が変化に合わせて挑戦し続ける地域の実態を感じ取ることができました。オープンファクトリーやアントレプレナーシップ、イノベーションを学ぶ丸山ゼミにとって、とても学びの多いフィールドワークとなりました。
 このフィールドワークを通じて、学生たちは地域の伝統産業が持つ魅力と課題を理解することができました。また、現地の職人や企業の方々との交流を通じて、持続可能な地域づくりに向けた具体的な取り組みや地域資源を活かした新たなビジネスモデルケースを学びました。これらの経験は、学生たちの今後の学びやキャリアに大いに役立つことと思います。丸山ゼミは、これからも地域と連携しながら、実践的な学びを深めていきます。
 

●RENEW/2024参加した学生からのコメント 経営学部経営学科2回生 市川 亜美さん
 私は福井県出身で、将来は福井県に戻って地元の活性化に向けた事業に携わりたいと考えており、今回のイベント参加を楽しみにしていました。「RENEW」へ訪問する前に丸山先生から「なぜあのまちに人が集まるのか?」について考えようとおっしゃっていただきました。私は、訪問する前に想像していた地味なまちとは全く異なる、素敵なデザインがあふれるこのイベントの効果が若者を集めていると体感できました。福井県鯖江市の河和田という馴染みのない地域から生まれるデザインが素晴らしいという事実には意外性があります。だからこそ、なぜそのようにクリエティブな状況が生まれるのかについて知りたいと訪れる人が多いのではないかと考えました。そのようなデザインを一目でも見たい、そのようなデザインができるまでの過程やデザイナーさんが気になってあのまちに人が集まるのだろうと考えました。また、勝手なイメージで伝統工芸の職人や、後継の人が集まるイベントなのだと考えていましたが、おしゃれなカフェを経営したい人やまだ将来やりたい事が明確になっていない学生が訪れても絶対に楽しめるイベントだと感じました。
 「RENEW」のビジョンは「持続可能なまちをつくる」ですが、あのまちは間違いなく、活気に溢れていたと感じます。あの活気をぜひイベントが開催されている地域だけでなく福井県全体に広げたいと考えました。私の将来にも非常に勉強になる時間となりました。

●教員コメント 経営学部経営学科・丸山 一芳教授
 菊井社長には、理美容におけるプロ用鋏の製造や市場についてのお話から、会社内での理念浸透に関する取り組みについてご講演いただきました。さらに「和歌山ものづくり文化祭」を実施されることでの、産地の内外との相互作用から菊井鋏社内への影響まで、深い経営者の思考経路を楽しくお話いただきました。学生からもたくさんの質問が出て盛り上がった討議となりました。
 福井県の「RENEW」への参加では、学生たちが 積極的にワークショップに参加することで、ものづくりの楽しさを経験的に理解していました。産地の方々が笑顔で歓迎してくれることにも感激していた学生が多く、越前漆器や眼鏡産業にたずさわる若い従業員のみなさんと自然にコミュニケーションが生まれて素晴らしい交流になりました。今後も現場・現物・現実からの学びを大切にしてほしいです。
 菊井社長、「RENEW」の新山様、吉川様をはじめとして、皆様ありがとうございました。

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