工学部、経済学部、経営学部に所属する学生12人が「地域における公共施設の活性化~スポーツ弱者をなくせ~」をテーマにしたPBL(Project-based learning)に取り組みました。京都市山科区の公共スポーツ施設の利用状況等を調査し、地域住民がスポーツを楽しむ機会を増やす提案をめざしました。
本PBLには、京都市(文化市民局市民スポーツ振興室)と株式会社ビバが参画し、基調講演やフィールドワーク支援、学生の企画案へのアドバイスを行いました。
初回授業では、京都市におけるスポーツの現状や振興政策、ビバが管理・運営するスポーツ施設の利用状況等をそれぞれの担当者が基調講演されました。2日間のフィールドワークでは現地視察とインタビューを実施しました。活動は2チームに分かれ、具体的な取り組みの設定や課題分析、解決方法の検討に取り組みました。中間発表では、学外の参画者に提案の方向性をプレゼンし、フィードバックを受けて検討を重ねて、最終報告会を迎えました。
最初のチームは「スポーツ×デート ~enjoy健康寿命~」をテーマにしました。スポーツ弱者を「スポーツに興味があるが、きっかけのない人」とし、公共スポーツ施設の利用が少ない18~25歳をターゲットに設定しました。出会いの場を提供することをスポーツ参加へのきっかけとしたプランを提案しました。
2つ目のチームは「親から子への運動の習慣化」をテーマに、4~10歳の子どもと両親という家族を対象にしたプランを報告しました。人口流出の多い世帯層であり、スポーツ弱者を「スポーツ参加への動機の乏しい家族」として定義して取り組みました。
「スポーツ弱者」をキーワードにしたPBLに取り組むことで、私たちの暮らしに身近なスポーツが関係するリアルな地域課題を深く考え、スポーツ振興の必要性や課題へのアプローチを経験して学ぶことができました。また、異なる学部の学生が互いの意見を尊重しあうコミュニケーションやチームワークの有効性を再認識しました。
※ 京都市は、meetus(ミータス)山科-醍醐プロジェクトに関連する形で本PBLに参画しました。
※ 株式会社ビバは、本学と教育連携および地域活性化事業の展開に関する協定を締結しております。
■ 担当教員のコメント 経営学部経営学科 大野 宏之 教授
PBLによるこのような授業における多くの場合、予め設定された具体的な課題の枠組みでの取り組みです。今回の授業では実際の社会における何が本当の問題なのかもクリアではない、しかしながら私たちの日常に多い問題の曖昧さ、それを明らかにすることから向き合いました。
今春から開設する経営学科スポーツ経営学専攻では、「スポーツ」という誰もが親しみのあるキーワードに、今回取り組んだような地域の実社会に根差した問題に行政や民間企業と取り組むカリキュラムを実践的な学びの場として用意しています。
■ 受講生のコメント 経営学部経営学科2回生 山田 咲太朗さん
今回のPBLは、「スポーツ弱者をなくす」という抽象的なテーマから、自らで具体的なテーマを見出すというものでした。自分たちが取り組む問いを設定するという進行に当初は戸惑いがありました。しかし「スポーツ弱者」という向き合うべき課題の定義やその問題の特定等を仲間とのディスカッションを繰り返したことで、実社会での社会課題に向き合えた実感を得ることができました。
「スポーツ×デート ~enjoy健康寿命~」を提案する学生チーム
「親から子への運動の習慣化」を提案する学生チーム