2024年12月14日(土)、世界遺産・清水寺を舞台に、一夜限りの特別講義「文化交響-文化の創造と伝統の継承。次世代のクリエイターへ-」を開催しました。本イベントは2026年4月に開設予定であるデジタルメディア学部(仮称)および工学部ロボティクス学科(仮称)(※現在、設置構想中。計画は予定であり変更することがあります)の開設に先立ち、企画されたものです。
AIやIT技術を使って、これからどんな文化を生みだすことができるのか、技術と文化の融合をテーマに、セッションⅠ・Ⅱ、クロストーク、清水寺夜間特別拝観の4部構成で展開されました。
セッションⅠでは、音楽革命を巻き起こした「初音ミク」の生みの親、クリプトン・フューチャー・メディア株式会社 代表取締役・伊藤博之氏が登壇。「初音ミクが創り出した新しいカルチャー」と題し、伊藤氏が会社を設立するに至った思い、「初音ミク」誕生エピソード、著作権や使用料の問題をクリアしたプラットホームによって生まれた「創作の連鎖」、そして、様々なコラボレーションで取り組まれたプロジェクトなど、これまでの歩みについてお話いただきました。技術の発展によって誰もがクリエイティブな活動ができる時代になったこと、そして「初音ミク」がその象徴的な存在であることを参加者たちは実感しながら聞き入っていました。
続くセッションⅡでは、清水寺執事・教学部長の森清顕師が、「清水寺の歴史と16世紀における"メディア"」をテーマに講演しました。
森師は、16世紀初頭に描かれた「清水寺参詣曼荼羅」という絵図を紹介しながら、清水寺の成り立ちや、時代を超えて人々の心に寄り添い続けてきたその歴史について語りました。この講演は、日本文化の深みを知る貴重な機会となりました。
また、森師は当時の人々の生活や風習を現代社会と照らし合わせながら、わかりやすく解説し、会場の聴衆を深く魅了しました。
クロストークでは、「文化の創造と伝統の継承」をテーマに、伊藤氏、森師に加え、本学工学部情報工学科・松原仁教授と大場みち子教授が、3つのテーマに沿ってディスカッションを展開しました。タレント・春香クリスティーン氏がファシリテーターを務め、異彩を放つ5名の「文化を創ること、守ること、未来に伝えること」に対する熱き思いが交差しました。参加者からは、事前に質問が寄せられ、登壇者が各々の考えを語りあいました。
クロストーク終了後は、閉門後の清水寺・夜間特別拝観へ。参加者は、美しい紅葉が彩る幻想的な夜景と共に文化財の魅力をゆっくりと時間をかけて堪能していました。
本イベントには、中高校生や大学生を含む約160名が参加しました。新たなテクノロジーであるデジタルやAIと長い歴史の中で守り続けてきた文化について、これからどのように共生していくと豊かな社会につながるのか、その可能性を探る機会となりました。
デジタルメディアやロボティクスの分野は、日本の産業を牽引していく重要な柱とされています。本学では、次世代の担い手が、デジタルやAI が面白い学問だと実感してもらうとともに、AIやロボットが人間社会としなやかに共存する道を考える機会を今後も創り出していきたいと思います。
【関連サイト】
■京都橘大学 新学部・新学科 特設サイト
https://www.tachibana-u.ac.jp/admission/2026special/
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