【情報工学科】一般社団法人電気学会主催・第100回情報システム研究会にて、松原仁工学部長による基調講演が行われました

 2025年5月15日(木)~5月16日(金)、京都橘大学にて、一般社団法人電気学会による情報システム研究会が開催されました。また、15日にはアクティブラーニングスタジオにて工学部長の松原仁教授による基調講演「進歩した人工知能とどう付き合うか」が行われました。

 今回の研究会のテーマは「情報システム,人工知能,知能情報・数理,その他一般」であり、急速に発展を遂げるAI(人工知能)技術の現状とその応用に関する活発な議論が交わされました。

 講演の冒頭で松原教授は、近年の生成AIの進化に触れつつも、AIは過去に何度か停滞期を経験してきたと述べられました。そうした困難な時期から一貫してAI研究に取り組んできたご自身の経験をもとに、「コンピュータ将棋」と「公共交通を変えるAI」という二つの実践例を通して、AIとの向き合い方についてお話しされました。

 コンピュータ将棋の開発に長年携わってきた松原教授は、AIが棋士の戦術の幅を広げるだけでなく、観戦する視聴者にとっても対局の状況がよりわかりやすくなる事例を挙げながら、AIが人間に新たな発見をもたらしてきたことなどを紹介しました。当初は「プロ棋士に勝利したAI」に対して世論から懸念や忌避の声が上がったものの、現在では将棋AIは人間の「敵」ではなく、その能力を拡張する「パートナー」として機能していることを強調されました。

 また、「公共交通を変えるAI」の取り組みである「SAVS(Smart Access Vehicle Service)」についても触れられました。SAVSは、2025年2月に本学が連携協定を締結した株式会社未来シェアの主要プロジェクトであり、AIが各車両の運行を統合的に制御することで、都市全体の交通の最適化を目指しています。これにより、医療・教育・観光といった多様な分野と連携した移動サービスが可能となり、人々の暮らしをより便利で快適にする未来像について語られました。

 最後に、人間とAIとの関係性についても考察が深められました。AIの進化により、「人間がAIに教え、AIが人間を助ける」という双方向の関係について提言されました。AI技術が、人間の定義そのものを拡張しつつある可能性に言及し、「進化したAIを受け入れるには時間がかかるが、人間の本能的に当たり前であり、ネガティブなことではない」と人間と技術の共進化に前向きな視点を示されました。

■一般社団法人電気学会WEBサイト
https://www.iee.jp/about/overview/

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