2025年5月19日、経営学部経営学科の「現代企業論Ⅰ」でクララ株式会社 代表取締役社長CEOの家本賢太郎氏の講演会を開催しました。
家本社長は、1997年5月に当時15歳で合資会社クララオンラインを設立しました。1999年に株式会社化すると、台湾や中国、シンガポール等へ海外進出を果たしました。2019年には株式会社メルカリからシェアサイクルビジネスを引き継ぎ、チャリチャリ株式会社を設立。同年には東京ベイエリアをホームエリアにするプロバスケットボールクラブ「東京ユナイテッドバスケットボールクラブ」を設立し、2022年にB3リーグに参入しました。2025年現在、国内外に8つの企業を経営されています。
当日は「社会課題からはじめる起業 ~ビジネスを通じて社会を変えるアプローチ~」をテーマに講演いただきました。授業の前半は、家本社長が15歳で起業に至った経験を語っていただきました。中学時代に患った病気が原因で車椅子生活だった家本社長が選択したのは起業でした。入院中に没頭したパソコンとインターネットの将来性を信じて起業に突き進みました。起業直後は資金繰りに苦しみながらも経営を軌道に乗せて、発展を遂げました。
クララ株式会社 代表取締役社長CEO 家本賢太郎氏
授業の後半は、シェアサイクルビジネスを行うチャリチャリ株式会社を事例に経営モデルを学びました。2010年代半ばに中国で起きていたシェアサイクルビジネスの変革に気づき、自転車の交通分担率が高い日本においても導入を構想しました。チャリチャリは自転車の設計や組み上げ、流通、販売を自社で完結する強みを生かし、全国でシェアを高めています。福岡市や熊本市を事例に、地域課題と向き合いながら、収益を生み出すビジネスモデルについてお話しいただきました。社会の要請に応えながら、チャレンジングな企業活動を展開される家本社長。参加した学生は、経営者の熱量を直接感じ、改めて自身のキャリアを考える機会となりました。
チャリチャリを事例に経営モデルを語る家本氏
担当教員のコメント 経営学部経営学科 平尾 毅 教授
家本賢太郎氏の講演は、「企業の本質・役割・存在価値を学ぶ」という本科目のテーマに対して、非常に実践的な意味をもつ内容でした。この講演を通じて、企業は単に利益を追求する存在ではなく、社会課題の解決に貢献し、社会からの要請に応える存在であることが強調されました。
また、「恩を返すのではなく、送る(恩送り)」という考え方や、「社会からの要請を考える」という企業理念の捉え方を通じて、企業の存在意義は社会とのつながりと信頼の中にあることを学生に深く印象づける内容となっておりました。今回は企業の本質を考えるうえで貴重な学びの機会となりました。