【国際英語学科】2050年CO2ゼロどこでもトーク(早川ゼミ×堤淺吉漆店)「伝統産業とサステナビリティ」講演会を実施

 
 2025年7月25日(金)、国際英語学部国際英語学科 早川有香准教授のゼミ及び授業でサステイナビリティや国際関係を学んでいる学生を対象に、堤淺吉漆店の堤卓也氏、スワロー茉柚クレア氏にご講演いただきました。本講演会は、京都市のエコ学区事業として実施される「2050年CO₂ゼロどこでもトーク」に早川ゼミが採択されたことで開催されました。

 講演会の冒頭、京都市環境保全活動推進協会の竹花由紀子氏より、京都の気候変動問題の現状や気候変動の原因が二酸化炭素であること、エネルギー消費量を減らす必要性等についてお話をいただきました。
 

 堤氏の講演では、漆の特性や採取・精製方法、漆業界の現状と課題、そして堤氏の取り組みを中心に「人々と自然を結びつける漆の可能性」についてご講演いただきました。
 堤氏は漆の精製を家業とする堤淺吉漆店の四代目。「きれいな地球と漆文化を次世代につないでいく」ことをめざして活動されています。
 漆は日本の暮らしの中で時代ごとに多様な形で使われてきており、金継ぎも漆を接着剤として使用する技術です。しかし、科学技術の発展とともに化学塗料が普及し、漆の需要は激減。国内の漆使用量は最盛期の500トンから現在では約23トンにまで落ち込み、現在の国産漆の生産量(約1.6トン)は、文化財修復に必要な量(年間2トン)すら賄えていない状況とお話しされました。
 このような中、堤氏は「漆には人々と自然を再び結びつける力がある」と信じ、様々な活動を展開しています。

【堤氏の取組事例】

●うるしのいっぽ
 漆の生産者側や、子供たちが漆の器を使う中で起こる変化を、映像や冊子を通じて発信。

●BEYOND TRADITION
 工芸の枠を超え、スケートボード、自転車、木製サーフボード(アライア)に漆を塗ることで、漆の持つ「使い込むほど味が出る」「修理が可能」といった価値を現代のスタイルで表現。

●若手職人育成
 京都の伝統的な漆器の素地を作る若手職人の育成を支援。

●情報発信と体験提供
 工房&ショップ「Und.(アンド)」では、漆製品の販売だけでなく、漆のワークショップや体験教室も開催。若者や海外の方へ向けて、漆の知識や価値を広めるためInstagramなどSNSを通じて情報発信中。
 

 また、スワロー氏からは堤淺吉漆店での現在の仕事と取り組み、サステイナビリティへの思い等についてご講演いただきました。
 スワロー氏は現在、堤淺吉漆店のショップで店員として勤務しており、ショップでは漆の木を伐採した後の廃材を使ったワークショップなどを開催。また、漆を体験できる観光ツアー「うるしツアーズ」でより深く漆を体験できる機会を提供するほか、SNSで若者や海外の人々に向けて、日本語と英語を駆使して漆の魅力を発信中とお話しされました。
 

 今回の講演会を通じて、漆のものづくりをする中で堤淺吉漆店がめざしている「関わる全ての人々がハッピーになるような循環型モデルの構築」を知り、どのように持続可能性を設計するか、そして「サステイナブル」の本質を学ぶ機会となりました。
 

▼(公財) 京都市環境保全活動推進協会 エコ学区サポートセンター
https://www.ecosien.org/

▼堤淺吉漆店
https://www.tsutsumi-urushi.com/

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