「たちばな みんな得する!保育・教育まなびセミナー2025」第5回講座 実施レポート

 「たちばな みんな得する!保育・教育まなびセミナー2025」第5回講座は、2025118日(土)に京都橘大学で開催され、「教職員のメンタルヘルスとストレス管理」をテーマに本学総合心理学部総合心理学科の田中芳幸教授が講師を務めました。

 保育・教育現場では、子どもたちの成長を支える一方で、教職員自身が強い精神的負担を抱えています。今回の講座では、田中教授がワークを交えながらストレスの仕組みとセルフケアの方法をわかりやすく解説しました。

 まず田中教授は、バーンアウト間近な状態で働いている教員や、病気休職者中で精神疾患を理由とする教員、負担感を抱えている保育士が非常に多いなどといった社会状況を、データに基づきながら紹介し、「我慢すれば何とかなる」という思考が危険であると指摘しました。続いて、ストレスにより燃え尽きてしまう過程を「過剰適用」→「神経過敏」→「無関心」→「引きこもり」→「抑うつ」の段階で説明し、特に「無関心」段階で油断する危険性を強調しました。

 また、「ストレッサー(原因)」と「ストレス反応(結果)」を分けて考えることの必要性や、日常の小さな苛立ち(デイリーハッスルズ)が心を蝕むことを解説しました。その上で、支援者や同僚・上司として、他者の「些細な愚痴」にも丁寧に耳を傾ける姿勢が大切だと語りました。

 後半では、ポジティブ心理学の考え方をもとに「Three Good Things(今日の良かったことを3つ書く)」や「マインドフルネス(今に意識を向ける)」といった実践法を紹介。日常に小さな幸せを見つける習慣が、ストレスに強い心を育てることにもつながると説きました。

 最後に田中教授は、「教職員自身が満たされた状態でいることが、子どもたちの笑顔につながる」と締めくくりました。参加者からは、「明日から実践できる」「気持ちが軽くなった」といった感想が多く寄せられました。

 講演の後は、本学教員と講演参加者との交流会を開催しました。ベテラン教師として活躍する児童教育学科1期生から、今年本学を卒業したばかりの18期生までさまざまな年代の卒業生が集まり、それぞれの近況報告や意見交換が活発に行われました。

 教職保育職支援センターでは、次年度以降も教育・保育の現場で働く卒業生の皆さんが気軽に交流できる場を企画しています。ぜひご参加ください!

2025年度一覧へ