【日本語日本文学科】小説家・凪良ゆう氏による学術講演会「星の裏側 in京都橘大学」を開催しました

 2025年11月6日(木)、小説家・凪良ゆう氏を講師に迎え、学術講演会「星の裏側 in京都橘大学」を開催しました。この講演会は京都橘大学文学部日本語日本文学科・日本語日本文学会が第一線で活躍する小説家の方々をお招きし毎年開催しているものです。

 凪良ゆう氏は2007年に作家としてデビューされ、BLジャンルでの活躍のほか、一般文芸作品も多数発表されています。2022年に刊行された『汝、星のごとく』は、第20回本屋大賞と第10回高校生直木賞を受賞し大きな話題となりました。また、その続編として『星を編む』が2023年11月に刊行され、2024年第21回本屋大賞にノミネートされています。

 今回の講演会では、担当編集者の講談社文芸第二出版部部長・河北壮平氏と、主に『汝、星のごとく』の創作過程を通じて、小説創作の具体的なプロセスと、作家と編集者との密接な協働関係について対談いただきました。

 講演会では、小説家の裏側として凪良氏のデビューの経緯や編集者との関係について語られました。担当編集者の河北氏からは、「編集者の仕事は作品を良くするために何でもすること」だと強調され、作家がなんとなく書いた部分を言語化することも編集者の役割だと紹介がありました。また、凪良氏は、自己開示を厭わず作品に深く踏み込んでくれる担当編集者との協働では、良い作品を制作できることが多いと経験談を交えて述べられました。

 また、「創作」小説の裏側についての対談では、小説制作のプロセス(企画・取材・プロット・執筆)のうち、特に執筆に入るまでの準備段階が最も重要であると語られました。『汝、星のごとく』の初期プロットはA4用紙2~30枚と長大なもので、原稿提出後の打ち合わせは7〜8時間に及ぶことも。校正刷りの段階で、句読点の位置、表現、助詞など、非常に細かい修正を何度も繰り返すことなど、制作の裏側に迫る貴重なお話をいただきました。

 質疑応答では、作品への思い入れや執筆のコツ、編集者として大切なことなど、凪良氏と河北氏へ多くの質問が寄せられました。この講演会を通じて、凪良氏の緻密な創作プロセスと、作家と編集者の協働を経て完成し、読者の手に渡っていく文学作品の裏側を知る貴重な機会となりました。

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