
第95回日本感染症学会西日本地方会学術集会 大会長 大毛 宏喜先生(広島大学病院感染症科)との記念写真
2025年11月28日(金)から30日(日)にかけて、福岡国際会議場にて開催された「第95回日本感染症学会西日本地方会学術集会」および「第73回日本化学療法学会西日本支部総会」合同学会において、本学大学院健康科学研究科 中村研究室の藤社果林さんが優秀賞を受賞しました。
日本感染症学会および日本化学療法学会は、感染症診療、抗菌薬治療、薬剤耐性対策など、人獣共通感染症を含む幅広い領域を扱う歴史ある学会です。本年度の合同学会は「新たな価値の共創と未来へのリンク」をテーマに、多職種が連携しながら最新の知見を共有し、活発な議論が交わされました。
藤社さんが受賞した優秀賞は、一般演題の中から研究の独創性、学術的意義、臨床・公衆衛生への貢献可能性が特に高いと評価された演題に授与されるものです。
藤社さんは「愛玩動物から検出された第3世代セファロスポリン系薬耐性 Escherichia coli の細菌学的及び分子生物学的解析」という研究成果を発表しました。本研究では、2023年4月から2024年3月にかけて大阪・京都・滋賀の動物病院から収集されたイヌ・ネコ由来株50株と、2025年に京都府内の医療機関から得られたヒト由来株16株を対象とし、薬剤感受性試験、ESBL 遺伝子や p-AmpC 遺伝子の解析、さらに ST 合剤およびホスホマイシンに対する耐性機序を詳細に調査しました。
解析の結果、レボフロキサシン耐性が動物・ヒトの双方で高率に認められたこと、ST 合剤耐性株の多くが dfrA や sul 遺伝子を保有していたこと、さらにホスホマイシン耐性株で fosA 遺伝子が確認されたことなど、薬剤耐性菌の拡散状況を示す重要な知見が得られました。また、ESBL 遺伝子では CTX-M-9 群が最多を占め、p-AmpC(CIT 型)を保有する株、CTX-M-9 と CIT を同時に保有する株も検出されました。これらの結果は、動物と人の双方に関連する薬剤耐性菌の現状理解を深め、ワンヘルスの視点から感染症対策を考えるうえで重要な基盤となるものです。
今回の受賞は、学術的意義の高さと今後の発展性が高く評価されたものであり、藤社さんおよび中村研究室の今後の研究のさらなる進展が期待されます。
▼大学院 健康科学研究科
https://www.tachibana-u.ac.jp/admission/faculty/graduate_health_science/
▼健康科学部 臨床検査学科
https://www.tachibana-u.ac.jp/admission/faculty/