研究代表者:杉浦 昌(京都橘大学 工学部 情報工学科・教授)
ファブスペース活用の研究
①医療と情報技術・データサイエンス
2023年4月1日 ~ 2028年3月31日
本学のラーニングコモンズであるクリエーションラボ(以下CL)には 3Dプリンタやレーザーカッター、VR機器、IoT機器、教育用ドローンなどが備えられ、ものづくりを行うことのできるファブスペースとなっている。
具体的には、現在行われているCLの設備を利用した実践的な教育や学生の独習利用をさらに拡大する。また、3Dプリンタがもつパワーと可能性は認識しつつもその利用に対してハードルを感じている学内の研究者や教員に対し、他学部・他学科と連携して普及活動を行う。さらに、希望する学生に対する実践的なプログラミング教育や電子機器製作の教育を行う。これらにより、ファブスペースのさらなる全学的な活用を促進する。
現在の Society5.0社会はサイバーとフィジカルを融合させることによって社会を発展させようとしている。このため、3Dプリンティングや3Dスキャン、レーザー加工の技術と利用、VR技術、IoT技術、ドローン活用、電子機器製作などは Society5.0を支える重要なリテラシーの一つとなっている。そこで本活動では、CLのファブスペース機能を発展させ、これら技術のさらなる教育への利用や学生・教職員への普及啓発を行う。これによって全学横断的なファブスペースの活用を実現し、幅広い分野での学際的な研究の基盤を提供する。
CL内の設備は実践授業等に活用されている。また、介護や福祉をはじめとするさまざまな分野でこれらの機器を活用する動きがある。しかし現状ではその利用はまだ十分ではない。
また他方では、地域の地方公共団体や学校などから、ファブスペースを活用したSTEAM教育への大学としての協力を要望されており、現在その対応を計画中である。
本ユニットの活動は、これらを加速するものと考える。
メンバーの研究分野における3DプリンタやAM技術、3Dスキャナやスキャン技術、IoT技術、その他の技術の活用状況と課題を調査し分析し、CL設備の活用を研究するとともに、あるべきファブスペースの姿を検討する。
具体的には、他学部・他学科と連携した学内セミナー等を通して実践的に調査と分析を行う。これら技術の利活用の度合いは分野によって異なり、かつその範囲は広い。従って、学内の研究者や学生に対して上記技術の学内セミナーを実施し、要望や希望、CLの利活用に対する要望を収集する。
あわせて本メンバー各自の研究へのこれら技術の適用を検討し、さらに各メンバーから自学科内の研究者や大学院生等への上記技術やCL利活用の呼びかけおよびヒアリングを行う。
また、先行してファブスペースを備える他大学を見学して知見を得たり、京都市近隣の商業ファブスペースを見学してファブスペース活用の最新動向を把握する。
これらにより、ファブスペースの利活用に必要な要件や現状のCLの課題を明らかにする。
なお、2024年度はCLを活用して作成したハンドベル演奏装置を用いてヒューマンインタフェース学会のシンポジウムで学生発表を行い、結果、優秀プレゼンテーション賞を受賞した。このように、CLを生かした活動から新たな研究が創発的に生まれてくるため、事前の予測は困難ではあるが、CLを活用することによって学内の他の研究者に対しても研究のヒントや新たな視点を提供するものと考える。
3Dプリンタやファブスペースを活用している事例の調査を行い、実際に教育に活用する。また、学生がものづくりやSTEAM関連の教育的なイベントに出展するのを支援し適切に指導を行う。
具体的には、今年度に行った京都橘中高との情報交換や中高の橘祭への出展展示をさらにすすめる。また、今年度に行った京都府のイベント「学びフェスタ」への出展や、東京晴海で開催されたメイカーフェアへの出展などを継続して目指す。これらをパイロット活動としてSTEAM教育の課題や問題点、留意事項、実践報告などの研究につなげる。
また、中高教員との共同研究を目指す。たとえば京都橘中高の理科教員とはAM技術やプログラミング教育に関する意見交換を行っているため、これを発展させて共同研究につなげたい。
初等教育における活用の調査を行い、外部の教育機関と連携して実践的な教育活動を行う。
具体的には、現在伏見区役所から要望されているSTEAM教育を実践する。今年度は、その第一弾として小学生を対象とする3Dプリンタ体験講座を年明けに行うことを予定しているが、来年度はこれを拡大し、プログラミングや電子工作などの教育を行って学校教育への展開を研究する。
2024年度の活動において、区役所職員や小学校教員からは、来年度の3Dプリンタ体験講座の拡充に加え、教育用3D CADを用いたパソコン講座やプログラミング講座、電子工作講座、中高生を対象とした電子工作講座の実施依頼を受けている。このため、教育活動を研究テーマとする高学年学生や院生および教育活動に興味のある学生とともに実施して、これらの教育活動を広げる。
さまざまな実践活動を通してCLの活用手法やノウハウの蓄積、運用体制の整備、設備の充実が達成される。これによりCLのファブスペース機能が向上し、研究や教育、地域貢献を達成するための基盤となる。
CLの活用と充実は、本学の教学理念の一つである「臨床の知」を実現するための基盤となる。これにより学内の実践的な研究活動に貢献する。
CLを活用した本学学生への実践的な教育を行うことにより、学部・学科を問わず、日本が目指す近未来社会 Society5.0を支える人材の育成に貢献する。
京都橘中高や地域の教育機関等と連携してSTEAM教育やものづくり教育を行う。また、京都府や山科区、伏見区などのイベントに参加してSTEAM教育の普及啓発に貢献する。メイカーフェアやオープンソースカンファレンス等の公益性の強い外部イベントにも参加する。,
これらの活動によって地域社会に貢献すると同時に、本学の活動を社会に広く理解してもらうことにより、本学が「京都におけるものづくり教育やSTEAM教育の中心的な拠点」となることを目指す。
ユニットメンバー
氏名 | 所属 | 職位 |
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氏名:杉浦 昌 | 所属:京都橘大学 工学部 情報工学科 | 職位:教授 |
氏名:鈴木 あるの | 所属:京都橘大学 工学部 建築デザイン学科 | 職位:教授 |
氏名:甲斐 義浩 | 所属:京都橘大学 健康科学部 理学療法学科 | 職位:教授 |
氏名:西野 毅朗 | 所属:京都橘大学 経営学部 経営学科 | 職位:准教授 |