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京都の持続可能性
研究ユニット

研究代表者:小山 大介(京都橘大学 経済学部 経済学科・教授)

研究課題名

京都における地域経済・社会の持続的発展に関する研究

重点研究分野

②持続可能な共生社会~京都再生を中心として~

研究期間

2023年4月1日 ~ 2028年3月31日

[ 2025年3月31日までの活動はこちら ]

研究概要

 京都経済・社会は、幾多の困難に遭遇しながらも、これまで力強く発展を遂げてきました。しかし、京都府中北部にくわえ、京都市内においても人口減少傾向が顕著となるなかで、時代の転換点を迎えています。また、インバウンドの急増が、必ずしも京都経済の持続的発展に貢献していないのではないかとの疑問も出ています。次の世代に向け京都経済・社会の持続的な発展を目指すことを目的として、本研究ユニットでは、引き続き学際的な視点から多角的に地域の課題を検討し、京都再生、中長期的な「京都像」の構築に向けた政策検討を進めます。

研究目的・意義

 総務省の人口動態調査によると、2024年1月1日時点での京都市の人口は、137万9,529人と、2023年の1年間で5,661人減少しており、4年連続での人口減少となっています。この事実は、京都における持続的な経済や社会の実現に疑問を投げかけるものです。そのため、京都経済や社会の実態を明らかにし、持続的な地域の発展に向けた道筋を示すことが緊急の課題となっています。本研究ユニットでは、京都の経済・社会の現状を京都府・京都市行財政、中小企業、地域経済、子育て支援、医療福祉・看護など多角的視点から検討するために、引き続き京都再生の核となる調査・研究グループの構築を進めて行きます。将来的には本学内外の研究者による複数の研究グループを構築することで、京都における実証的研究に向けた中長期的かつ学際的研究遂行のための糸口とし、本学が中核となる京都経済・社会に関する調査・研究のための基盤の整備を進めたいと考えています。

研究背景(重点研究分野選択理由)

 京都はこれまで、幾多の災害や戦災に巻き込まれながらも、力強く発展を遂げてきました。しかし、近年における人口減少は、少子化・高齢化に伴う自然減だけでなく、現役世代や子育て世代の転出超過(社会減)によってもたらされており、京都経済・社会の活力が大きく低下する要因の1つとなっています。また、経済活性化対策として行われているさらなる観光振興や都市計画規制の緩和などの地域政策は、必ずしも京都経済・社会の活性化に直結するとはいいがたいものです。そのため、本研究ユニットでは、京都を取り巻く課題に対して、京都府・京都市行財政、中小企業、地域経済、子育て、看護、農林業、観光など多角的な視点から検討をくわえ、持続的可能な京都経済・社会に向けた課題解決枠組みの構築を進めます。その際、経済学・経営学・看護学など学際的な視点から、京都経済・社会の課題抽出と課題解決に向けた研究・分析を進めていきます。この研究プロジェクトによって、京都経済・社会についての学際的かつ多角的な現状分析を進め、京都の持続的な発展に向けた経済政策・産業政策、社会政策を提案します。

研究計画・方法

 本研究ユニットでは、持続的な京都経済・社会の構築に向けた研究目的を達成するため以下の研究計画・方法によって調査・研究成果の積み上げと目標達成を目指します。2023年度、2024年度の研究活動によって、京都経済・社会における課題の掘り起こしを行い、共通テーマを設定し、研究会やシンポジウムを行ってきました。この2年間の成果をもとに、今後2年間で研究成果をさらに積み上げたいと考えています。

2025年度:自立的な研究プロジェクトの形成、面的な拡大

 ユニット設置3年目となる2025年度においては、研究交流やワークショップの「場」としての位置づけから、ユニットメンバーを中心とした具体性のある研究プロジェクトへの拡充を進めたいと考えています。その際、産官学連携の推進を進め、京都経済・社会研究の中心的役割を担うことのできる枠組みづくりを目指します。また、京都経済や社会における課題は、京都市にのみ存在しているのではありません。研究領域を面的に広げ、京都府中北部や京都南部についても、問題を抽出し、課題解決に向けた方策を学際的に検討したいと考えています。

2026年度:研究成果の積極的な社会への発信

 研究を継続し4年目を迎える2026年度については、2025年度の研究を活動をさらに深めると同時に、これまでの研究成果を広く社会へと発信したいと考えています。学会報告をはじめ、研究会、学習会、シンポジウム企画などを進め、成果をまとめた調査報告書や共同著作の出版に取り組みたいと考えています。また、研究領域の深化・発展が期待できると判断した場合、外部資金獲得による研究活動に切り替えたいと考えております。

2027年度:課題の抽出と研究活動の深化、社会への発信

 5年目となる2027年度は、これまでの研究活動を振り返り、成果と課題を検討します。また、研究活動の深化を進めるため、メンバーの拡充、研究テーマの再設定を行うとともに、これまでの研究成果を広く社会へと発信する取り組みを継続します。その際、産官学連携のさらなる拡充、研究領域の拡大などを進めます。また、研究ユニットのさらなる発展性が期待できる場合、複数年単位での調査・研究プロジェクトが実施・継続されている場合は、新たな研究ユニットの設置も検討したいと思います。

期待される研究成果および地域・社会への発信

 研究成果につきましては、ユニットメンバーの研究領域を活かし、各種分野において報告やシンポジウムを実施することで、知識や情報を社会へと還元・貢献していきたいと考えております。一定の研究成果が蓄積されれば、調査報告書の作成や共著書の出版などにも取り組みたいと考えています。上記の取り組みについては、研究状況を踏まえながら、ユニット設置期間内においても取り組んでいきたいと考えています。2023年度、2024年度に研究を進めるなかで、京都市の課題として、子育て支援制度の変更、住宅価格の高騰などが浮彫りとなりました。この事実を手掛かりとして、京都市内の子育てに係る団体と連携することが可能となりました。情報発信を続けることで、社会との協力関係がさらに深まるものと期待され、この成果はシンポジウムの企画や研究会の開催などにも結実しています。このような、活動を継続することによって、京都橘大学における研究ユニットの研究成果を継続的に社会へと発信できると考えています。
 研究ユニット設置期間終了後の研究成果の公表については、研究ユニットメンバーが所属する各種研究会・学会等での報告に加え、学内紀要、学術雑誌への投稿、調査報告書の作成など複数の媒体を通じた社会への情報発信に努めます。さらに、具体的な研究構想がまとまれば、学外資金の獲得を目指す形で、ユニットメンバーを中心に研究活動を継続したいと考えており、また、そのなかで、ユニットメンバーが個々の力を発揮し、さらに研究成果の蓄積が進み十分な研究成果が得られた場合は、研究ユニットメンバーを中心とした書籍(共同著作)の出版についても検討をしたいと考えています。

ユニットメンバー

氏名 所属 職位
氏名小山 大介 所属京都橘大学 経済学部 経済学科 職位教授
氏名那須ダグバ 潤子 所属京都橘大学 看護学部 看護学科 職位准教授
氏名平賀 緑 所属京都橘大学 経済学部 経済学科 職位准教授
氏名前田 一馬 所属京都橘大学 経済学部 経済学科 職位専任講師
氏名大田 雅之 所属京都橘大学 経営学部 経営学科 職位助教
氏名吉岡 久恵 * 所属京都橘大学 経済学部 経済学科 職位客員研究員

*共同研究者(外部・客員研究員)