5月24日、明日香村教育委員会は、斉明天皇の墓と有力視されている牽牛子塚古墳(奈良県明日香村)について発掘調査報告書を発表した。牽牛子塚古墳は、7世紀の天皇の墓に特徴的な八角形墳で、切石で覆われた墳丘に、巨岩をくるぬいた石室が埋め込まれている。報告書では、この石室が、「猿石」などを手がけた、最新の技術を持つ石工集団によって造られたとの考えを示している。猪熊兼勝本学名誉教授は「今回の報告書が示すように芸術性の高い猿石などの石造物と、規格性を求められる石室という飛鳥時代の二つの技術の流れが牽牛子塚で合流した。多くの石造物を造り、『石の女帝』とも言われる斉明天皇の終焉を飾る墓だ」と話した。
【2013年5月25日 朝日新聞に掲載】