3月27日、文化庁は、奈良県明日香村の高松塚古墳壁画を修復後は古墳に戻さず、古墳外で保存、公開することを発表した。遺跡は現地保存が原則だが、カビなどを抑制する技術の確立が見込めず、劣化した石材を石室の形に組み立て直すことも難しいとされる。そのことを受けて、猪熊兼勝本学名誉教授は、「残念としか言いようがない。高松塚古墳壁画の価値は本来、墳丘の中にある本物を目にすることで感じられる。生きた文化財とは何かという視点で保存方法を考える必要がある。墳丘に戻せなくても、高松塚古墳のすぐそばに石室を再現して壁画を展示すべきだ」とコメントした。
【2014年3月28日 京都新聞に掲載】