経済・経営の合同チームが、「プロジェクトマネジメントⅡ」成果発表会を実施

 2023年7月11日(火)と25日(火)、啓成館・清和館にて経済・経営学部の学生チームが、「プロジェクトマネジメントⅡ」の最終成果発表会を行いました。

 「プロジェクトマネジメントⅡ」は、経済・経営学部2回生の必修科目です。1回生時の「プロジェクトマネジメントⅠ」で学んだリーダーシップとプロジェクトマネジメントスキルの基本を踏まえ、企業や行政等から出されるテーマや課題について取り組み、プロジェクトマネジメント実践能力を高めることを目的としています。
 今年度は12クラスに分かれて、企業や行政等と連携し、多様なテーマで取り組んできました。
 このレポートでは、株式会社アシックスと連携した経営学部・大野宏之教授のクラスで、社会課題への新たなスポーツの価値提案と、滋賀県観光振興局と連携した経営学部・増谷博昭教授のクラスで、滋賀県の魅力を伝える観光プログラムの提案について、それぞれ成果発表会の様子をご紹介します。

 

【株式会社アシックス×大野教授クラス】
 2023年7月25日(火)、清和館にて経済・経営学部の学生チームが、「あすのスポーツを創ろう!」をテーマに新しいスポーツを提案しました。

 企業の方には、①第4回授業(講演)、②中間発表、③最終発表の3回の授業に参加いただきました。この授業では、まず自分たちの関心の持てる社会課題について分析し、テーマをそれぞれのチームで設定します。それから、スポーツの力を使って自分たちで解決できる方法についてディスカッションを積み上げ、一つの提案をまとめるための役割分担を決めます。学部の垣根を越えたメンバー編成なので、コミュニケーションをしっかりととりながら考え、意見を出し合い、課題に取り組んできました。

 最終発表会当日は、10チームがそれぞれ5分の持ち時間を使い、「あすのスポーツを創ろう!」を科目のテーマに行いました。高齢者や障がい者のスポーツ参加、健康経営や子どもの貧困といった社会課題をスポーツの力で解決するというアイデアの発表が続き、アシックスの方からはユニークな視点やより良くするにはなどのフィードバックがありました。
 終了後、大野教授は、「みなさん自身が社会に対してスポーツの力をどう使えるのか考えてみようというのがこの授業の本質でありテーマです。スポーツ活動そのものを目的にしたわけではなく、スポーツは一つの手段。自分たちに何ができるのか、逆に何が足りないのか、みなさんが仲間と対話することで、一つの成果が出せたと思います」と話しました。アシックスの方は、「みなさんが大学生としてできること、自分事としての提案を突き詰めて、ひとつでも実現させていけば、それが未来に繋がっていくのではないか」「中間発表から最終発表までの間で、課題の解決策に深みがでて、しっかりストーリーをたてられるようになったところにみなさんの成長を感じて、非常にうれしく思います」などと話されていました。

 

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【滋賀県観光振興局×増谷教授クラス】
 2023年7月11日(火)、啓成館にて滋賀県観光振興局と連携した経営学部・増谷博昭教授のクラスの学生チームが、「観光マーケティング(サステイナブル・ツーリズムやガストロノミー・ツーリズム)のプラン策定」をテーマに提案しました。

 学生らは、4月18日(火)の授業で滋賀県観光振興局の方にお話しいただいた「滋賀県の観光振興について~シガリズムでつなぐ、滋賀ならでは観光の創出をめざして~」の内容を踏まえて、滋賀県の観光の現状を分析し、観光振興の問題点や解決策をチームで意見を出し合い、提案をまとめました。

 成果発表会当日は、8チームが滋賀県の観光の創出について最終提案を行いました。アドベンチャーツーリズムやターゲット(外国人観光客や近畿圏在住の家族連れ等)を明確にしたパッケージツアーの提案、SNSを駆使した若者向けのプロモーションといったアイデアを発表しました。

 終了後、増谷教授は、「観光マーケティングは、行政や旅行会社、宿泊事業者、交通機関、ボランティア等の地元住民などマーケティングの主体がいくつもあり、企業が行うマーケティングよりも難しいテーマだったと思います。しかし、別の見方をするならば、多様性の時代と言われる現代においては、様々な主体の視座で滋賀県の観光をどう捉え、対象地域や観光企画案などをどの様な視野で選定し、ターゲットに対しフォーカスを絞った視点を持ち、相手に伝わるプレゼンをいかに行うのか、が問われる良いテーマだとも言えます。さらに言えば、プレゼン内容は単なる思い付きではなく、エビデンスのある提案にすることが必要で、その為には、ネットからの情報だけではなく、学生自らが現地現物を体験、経験するといった肌感覚を持つことが、AIやDXの時代においては、特に重要だと思います。その上で、観光に関する企画案をターゲットへ届けるために、デジタルやアナログなどのコミュニケーション手段を用いることになります。従って、観光マーケティングには大学で学ぶべき構造化スキルの要素が多数含まれているため、様々な事が学修できたのではないでしょうか。」と話しました。

 滋賀県観光振興課の方からは、「多くのチームが現状分析からターゲットを細かく絞った提案の着眼点が良かったです。また、予算額を設定し若者向けSNSの具体的活用を狙った点は、学生ならではの視点が入っていて参考になりました。」と講評をいただきました。

 学生たちが主体的に課題を見つけ、現状を分析し、実践的な解決策を企業や行政の担当者に直接提案するというこの授業は、学生にとって貴重な学びの機会であり、また成長を実感できる場です。「プロジェクトマネジメントⅡ」を通して得た経験が、今後の学生生活や、社会生活に活かされていくことを期待しています。

 

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 また「プロジェクトマネジメントⅡ」は、授業支援のためラーニングアシスタント(LA)と呼ばれる上回生が授業に参加しました。授業内のグループワークを支援したり、授業進行を補助したりと活躍をしてくれました。2人のLAのコメントも紹介します。

 

井戸 千尋さん(経済学部3回生 大野教授クラスを担当)
 「プロジェクトマネジメントⅡ」は経営学部の専門分野やスポーツを扱うことがあり、専門的なアドバイスをするために、経営学部のLAから助言をもらいました。グループワークが本格化する時期になると、講義前に全グループの進行状況を理解し、どんなことをアドバイスすれば良いのかを事前に考えるように工夫をしました。グループによって進行状況にばらつきがあったので、全グループが成果発表会に間に合うようにアドバイスする順番やそのグループにかける時間なども意識するようにしていました。
 14回の講義を通して、もう少しこうしておけばよかったなと後悔する部分も多々ありましたが、今後の自分自身の課題が見つかり、とても良い経験になったように思っています。

 

澤邊 敦哉さん(経営学部3回生 増谷教授クラスを担当)
 この授業の最初の段階で、学びの中心は受講生であることを意識し、受講生たちとコミュニケーションを取る必要があることを意識しました。また、「プロジェクトマネジメントⅡ」の授業内容は卒論に繋がる組み立てであることがわかり、自分自身の卒論の練習になるのではないかなと思いました。
 14回の授業を通し、成果物を作る上でチームワークが必要であることがわかりました。いかにグループ全体でアイデアや根拠などに取り組めていけるかが大切だと理解できました。主観ではなく、根拠をもって事実やアイデアの整合性が取れているかなどを考えることの大切さを学ぶことができました。
 自分自身の課題としては、各チームへコメントすることの難しさを感じました。どのような内容をどの程度コメントすれば、チームのためになるのか、そのバランスを把握することが難しかったですが多くの学びがありました。

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