文学部歴史遺産学科と滋賀県高島市が連携し、南畑古墳群の調査を実施。現地説明会を行いました

 文学部歴史遺産学科は、2018年度より高島市教育委員会に協力し、高島地域の文化財保護と古代史解明による地域の魅力創生に取り組んできました。2021年度からは同市南畑古墳群について、発掘調査を行っています。この調査は、歴史遺産調査実習の一環として実施され、中久保辰夫准教授、南健太郎准教授が担当してきました。
 これまでの調査成果をまとめるかたちで、9月22日(金)に報道機関に対し、「これら3つの古墳がこの地で生誕されたとされる継体天皇を支えた地元の有力者の古墳とみられることが判明した」と発表されました。
 一連の調査で、累代的に古墳築造がなされていたことや古墳の築造過程などが詳細に判明しました。

 また、1号墳からは朝鮮半島の百済にルーツがある平底瓶や、木棺の鉄釘なども出土し、鉄釘を使用した木棺は中国や朝鮮にルーツがあり、東アジア世界とのつながりがある被葬者であることも想定されるとのことです。
 今回の調査は、写真撮影によって三次元モデルを作成する「三次元写真測量」を用いて行われました。こうしたデジタル技術を活用して調査を行うことで、学術情報として活用できるだけでなく、災害などによって古墳の形状が変化した場合、復旧に役立てることができ、さらに調査終了後に埋め戻した後も調査の様子を画像から見ることができるといったメリットがあります。

 調査を行った成田浩一朗さん(2回生)は「初めは『古墳の調査』と聞いて、しっかりとやり遂げることができるか不安でしたが、先生や先輩方が作業について丁寧にご指導してくださったおかげで、私も安心して調査に励むことができました。大変貴重な体験をさせていただき、文化財という分野について、さらに深く興味を持つ良いきっかけとなりました」と、調査を振り返ります。また、五味璃子さん(2回生)は「実際に発掘現場に行き、調査をするという経験が初めてでした。前期の授業で教わった測量と図面の書き方をすぐに実践に活かすことのできる貴重な機会でした」と自身の成長を感じた調査となりました。
 10月1日(日)には、現地説明会も実施され、50名ほどの参加者を前に、上記内容の詳細が報告されました。

 歴史遺産学科では、日本や世界の文化遺産を中心に、正しく後世に伝えるための知識や保護の方法を学んでいます。最先端技術の調査手法も取り入れ、ドローンでの遺跡撮影、遺跡や遺物の三次元計測などを学ぶことができます。
 今回の調査結果で明らかになった点を踏まえ、歴史遺産学科では、古墳を含む歴史遺産から、今後も引き続き、考古学や日本古代史の謎を解明していきます。

▼南畑古墳群発掘調査現地説明会資料(PDF)
※高島市教育委員会事務局文化財課資料

▼文学部歴史遺産学科

画像①.png 画像②.png ➂現地説明会写真(インスタ用).png





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