【経営学部】下門ゼミと桑ゼミが(株)ダイエーとの連携プロジェクト最終提案を実施しました

 1月16日(火)、経営学部の下門直人・専任講師のゼミと桑海侠・専任講師のゼミに所属する3回生が株式会社ダイエー(以下、ダイエー)と連携したプロジェクトの最終提案をおこないました。当日はダイエーから、商品本部近畿商品統括部近畿ベーカリー部部長・萩原直人氏、同バイヤー・山本篤弘氏、イオンフードスタイル山科椥辻店店長・炭谷啓治氏に講評をいただきました。
 本プロジェクトは、ダイエーの全面的な協力のもと、イオンフードスタイル山科椥辻店内のディーズベーカリーの売上向上および売上日本一を目標に2023年6月に立ち上げました。マーケティングを学ぶ下門ゼミとデータサイエンスやデータ解析を学ぶ桑ゼミの学生たちがそれぞれの手法を用いて、一つの目標に向かって取り組む実践の場としています。このプロジェクトを通して、学生たちは意欲的に調査や研究に取り組み最終提案としてまとめました。

 

 下門ゼミからは店舗でのフィールドワークや顧客へのアンケート調査を実施し、その調査結果をもとに提案をおこないました。 店内POPの変更や陳列の改善、販売促進に向けた「自分だけのパンセット」やテナント連携を通じた割引制度の導入、そして京野菜を使った新商品のピザトーストをイートインスペース利用者限定で販売することを提案しました。

 

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 桑ゼミからは2チームが提案をおこないました。店舗から提供される売上データと学生が店舗で調査したデータを融合し、分析をおこないました。1チーム目は、ABC分析(※1)を用いて在庫管理に関する課題の仮説立案をしました。それをデータ解析により検証しました。その結果、廃棄損失と機会損失を考慮した在庫管理方法による人気商品の品切れ改善や販売商品の見直し、顧客視点からの販売活動の改善等の提案をおこないました。

 

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 2チーム目は、売上のばらつきの原因に焦点を当てました。売上が天気や気温、曜日の影響を受けるのかという仮説を立て、T検定(※2)を用いた仮説検証を行いました。その結果、店舗のイベント情報や曜日などの情報を考慮した最適生産量を特定させるExcel VBAプログラミングコードを開発・提案しました。このシステムを活用すれば、ボタン一つで誰でも最適な生産量を特定できます。

 提案した内容は、高く評価いただき、今後、これらの改善策を店舗で部分的に導入いただける予定です。競争の激しい小売・流通業界での店舗経営や業務改善の実践を深く学ぶ機会となりました。また、ビジネスの最前線で活躍されるダイエー関係者の方との交流から、卒業後のキャリア意識を高めることもできました。

 

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【イオンフードスタイル山科椥辻店 店長 炭谷氏のコメント】
 中間報告を聞いてから店舗では部分的に改善策を実行しています。その結果、本プロジェクトの立ち上げ時に掲げた目標に対し、前進することができています。ベーカリー商品の適切な管理を実行し、品切れをなくす取り組みとともに商品の陳列の改善にも着手したいです。今回の連携プロジェクトを通して、改めて売手発想ではなく、買手発想に切り替えて取り組むことに気付かされました。これが終わりではなく、始まりだと認識しています。従業員で力を合わせて多くのお客様に満足いただけるように取り組んでいきます。

 

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【下門ゼミ 曽我部邦彦(経営学科3回生)さんのコメント】
 このプロジェクトに参加することで、「現場に行って情報を収集する」ことの大切さを学びました。例えば、ベーカリー部門売上のライバル店への視察では、インタビューを通して1日の平均売上や陳列の工夫などの情報を取得することができました。また、陳列の写真を撮ることで、椥辻店と比較することにも役立ちました。さらに、椥辻店でのフィールドワークでは、包装、値付け、品出しを経験し、実際に働いてみることで知りえるものがあるということに気づきました。パンを焼いて包装するまでに多くの時間が必要なことや、パン生産の大変さを肌で感じました。またパンの陳列やPOPをじっくり観察する良い機会になったと思います。実際に働くことで、商品提案として出した地域の特産品を使ったパンがないことにも気付きました。
 炭谷店長のお話を伺うことで、新しい陳列方法を生み出すことに繋がりました。このような多くの学びから、「POP改善」、「陳列・販売方法改善」、「商品提案」という視点で提案することができたと考えています。 このプロジェクトを通して、現場の人にも納得してもらえるような提案を行うためには、現場に出て情報収集することの重要さを学びました。この経験は就職活動や社会人生活で活かしていきます。

 

 

【桑ゼミ 森口照太(経営学科3回生)さんのコメント】
 このプロジェクトは、企業と連携をしながら課題発見・改善提案に取り組むものでした。責任のある貴重な経験をすることができました。ダイエー関係者様から提供されたデータと私たちが実際に収集したデータを組み合わせて提案を行いましたが、データは全体のごく一部であるにもかかわらず、その複雑さに苦労しました。これにより、広範な視野と深い理解が必要であることを実感しました。
 調査やデータの取得において、工夫と苦労がありましたが、それが新たな知識やスキルの獲得につながりました。特に、企業との連携の中でコミュニケーション能力を向上させる機会となりました。
 このプロジェクトを通じて得た経験は、今後のキャリアにおいて大いに役立つと確信しています。データ分析や課題解決のスキルを向上させ、現場での実践的な経験を通して、成長できたと自負しています。今後もこのような機会に積極的に参加し、新たな挑戦として臨んでいきたいと考えています。

 

 

【桑ゼミ 佐藤優真(経営学科3回生)さんのコメント】
 このプロジェクトは、これまでの学びの成果を結集したものであり、Excelのスキル、グループ活動の進め方、プレゼンテーションの工夫など、様々な要素が複雑に絡み合っていました。特に、自らプログラミングのコードを書く作業は一段と苦労しました。提供いただいたデータを分析・検定し、どのような仮説に基づき、どのようなアクションを取るかを検討するプロセスは、グループ全体で協力し、手分けして進め、これまでに学んできたプログラミングの知識を駆使してようやく提案を完成させることができました。
 このプロジェクトを通して、経営学部の学生でもプログラミングの力を身につけ、経営理論を融合させながら独自の提案を行えたことに、大きな達成感を感じました。
 学んだ「経営理論」「データ分析」「グループワーク」の知識とスキルは、社会人になっても有用な武器となります。今後はこの武器を積極的に活用し、損失の少ない社会の構築に向けて目標を設定し、進んでいきたいと思います。

 

(※1)ABC分析:評価軸を一つ定め、多い順にA、B、Cと3つのグループ分けをし、優先度を決める方法
(※2)T検定:差がない、関係がないという仮説(帰無仮説)が正しいと仮定した場合に、統計量がt分布に従うことを利用する統計学的検定法の総称

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