5月16日(木)、本学アカデミックリンクスH301教室にて、タレントの田村淳氏による講演会が開催され、工学部情報工学科4回生をはじめとする学生約300名が受講しました。
田村氏はタレントとして、第一線を走り続けながら、2021年3月に慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科(KMD)修士課程を修了され、研究者としての道も歩まれています。また学校がコンセプトのオンラインサロン『田村淳の大人の小学校』や、遺書を動画で伝えるサービスをプロデュースする『ITAKOTO』も立ち上げ、活躍の幅を広げておられます。
今回は、田村氏の修士論文の内容をふまえ「遺書の可能性とサービスの構築」をテーマに、『ITAKOTO』設立の背景や亡きお母様の自己プロデュース葬儀についてお話しいただきました。
遺書動画サービスITAKOTOの設立について話す田村淳氏
「『死』は誰にとっても怖くて、不安なものであり、ネガティブなイメージを持つことが一般的である」としつつ、田村氏は、人が亡くなる前に自分の逝き方について、思いを書き残しておくことが、残された家族や大切な友人にとって、良いものになるのではないか、という考えをご自身の経験を交えながら、学生たちに語りかけていました。
「この世の中に確かに自分がいたこと、そして残される人たちに亡き人が伝えたいことをつなげていきたい。特に動画は、文字だけでは伝わらない温度感や直接的に肌感覚で伝わる真実がある。現在は、誰もが気軽に動画撮影ができる時代。大学院では、動画で遺書を残すことは、その人の意思をしっかりと受け継ぐために効果的だという主旨と共に、『ITAKOTO』による遺書の新しい概念のデザインを研究テーマとして取り組み、今も研究を続けている」と、現代の死生観を踏まえながら、田村氏の研究について、調査内容や事例を紹介されました。
授業の後半では、次世代に言葉を残すということについて、学生たちとワークショップや質疑応答を交えながら、考えを深めていく時間となりました。
学生と田村淳氏が遺言についての考えを意見交換する様子
最後にご自身の様々な経験から、「学べるということはとても贅沢なこと。そして、学ぶことは必ず未来につながっている。それを学生の皆さんは、是非意識してほしい」と学生に向けて、力強いエールをいただきました。学生たちも終始真剣なまなざしで授業に聞き入り、講演会は盛況のうちに終了しました。