中国図
アントウェルペン(アントワープ、現在のベルギー)の地図製作者ヨドクス・ホンディウス(1563~1612)が作成した銅版の中国図です。中国のほか、朝鮮や日本も描かれています。本来は、1606年刊行の「世界地図帖」(メルカトル・ホンディウス版アトラス)に収載されていたものではないかと思われます。
この銅版の中国図は、メルカトル図法で有名な地図学者ゲルハルドゥス・メルカトル(1512~94)が作成した地図の原版を引き継いで製作されたものです。メルカトルは、数多くの地図や地球儀を製作したことで知られています。彼の作成地図をまとめた「アトラス」(Atlas)の銅版は、彼の死後、ホンディウスに買い取られ、ホンディウスは、それに新たな地図を増補して「世界地図帖」を刊行しました。
地図中の日本周辺海域を見ると、北方に日本船と記された竹製の四角帆をもつジャンク型帆船が、南方に布製の帆を持つカラベル型ヨーロッパ帆船が描かれていることが注目されます。この中国図が作成されたころの日本では、天下人徳川家康や西国(西日本)の大名、豪商らにより、朱印船貿易(天下人発給の朱印状の所持者による海外貿易)が活発におこなわれていました。2つの帆船は、こうした状況を意識して描かれたものでしょうか。
日本の東方を見ると、上に十字架をいただく枠の中に、十字架上の殉教者が描かれていることに気づきます。執行人として描かれているのはヨーロッパ人でしょうか。これは、豊臣秀吉の命令でフランシスコ会(キリスト教の一派)の宣教師や信徒らを処刑した、1597年の二十六聖人殉教事件を示していると考えられています。








