鹿の音
寺坂昌三
鹿の声、月影、草の葉にこぼれる露など、秋の抒情を詠んだ西行の和歌4首を書きました。
細い縦の線から書き始め、次第に行頭を高くしながら気分を盛り上げていきました。
中央部やや右寄りの文字を大きく、墨量を豊かにして、山場を構成しました。その前後には、墨の多い部分をより際立たせるため、渇筆部を配置しました。
仮名書の魅力の一つに「散らし書き」があります。文字と文字、文字と余白をいかに調和させて構成するかに作家の感性が発揮されます。
最後、作品の左上に掲げた小さな文字集団は、秋の夜の月をイメージしたものです。
(2025年日展出品作)








