理学療法学科4回生の研究論文が国際雑誌「medicina」に掲載!

 健康科学部理学療法学科4回生の幸本夏奈さん、酒林花菜子さんが共同筆頭著者、重藤隼人助教が責任著者の研究論文が「medicina誌」に掲載されました。

 medicina誌は医療と健康に関する臨床研究および実験研究を取り扱っている論文が掲載されるオープンアクセスの査読付き国際雑誌になります。medicina誌は多くの医学研究者の論文が掲載されており、Impact Factorとよばれる学術雑誌の影響度を評価する指標が2.6と高く評価されている国際雑誌の1つであり、学部生の論文が査読付き国際雑誌に掲載されることは非常に珍しく快挙といえます。

 研究は卒業研究(研究指導:宮﨑純弥教授、重藤隼人助教)で行った内容であり、肩こりの自覚的症状と筋硬度の重症度に着目したサブグループ分類を行い、肩こりの自覚的症状および筋硬度に関連する要因を検証した研究になります。
 以下に研究の概要を紹介します。

研究タイトル:
自覚的な肩こりおよび筋硬度のクラスター分析: 中枢性感作関連症状との関連

研究内容の概要:
肩こりでは自覚的な肩こり症状および筋肉の硬さがみられ、自覚的な肩こり症状と筋硬度の両方が重度な場合もあれば、自覚的な肩こり症状と筋硬度が乖離している場合もあり、その要因は明らかにされていません。本研究では、肩こりの自覚症状と筋硬度に基づいたサブグループ分類を行い、サブグループの違いに関連する要因を検証しました。関連要因には身体および心理的状態に関する質問紙に加え、圧痛閾値、姿勢アライメント、自律神経、脳波活動などの包括的因子を検証しました。その結果、自覚的症状と筋硬度ともに重度なグループ、自覚症状は軽度だが筋硬度が重度なグループ、自覚症状と筋硬度ともに軽度なグループに分類されました。筋硬度は同程度だが自覚的症状の重症度が異なる2グループの違いに着目すると、中枢性感作関連症状のみ違いがみられました。また、自覚的な肩こり症状が重度である人ほど心理的要因の重症度も高い関係がみられました。これらの結果から、中枢性感作関連症状が肩こり部位の筋硬度が同程度であっても自覚的肩こり症状の重症度に影響を与え、心理的要因も肩こり症状の重症化につながる要因であることが示唆されました。

論文情報
Komoto N, Sakebayashi H, Imagawa N, Mizuno Y, Nakata I, Shigetoh H, Kodama T, Miyazaki J. Cluster Analysis of Subjective Shoulder Stiffness and Muscle Hardness: Associations with Central Sensitization-Related Symptoms. Medicina. 2023; 59(10):1831.
https://doi.org/10.3390/medicina59101831
https://www.mdpi.com/1648-9144/59/10/1831

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前列左から宮﨑純弥教授、幸本夏奈さん、酒林花菜子さん、重藤隼人助教
後列左から中田伊吹さん、水野裕仁さん、今川直人さん、兒玉隆之教授

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