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林壑翛然絶塵迹

吉川蕉仙(京都橘大学名誉教授)

第30回日展の出品作。明代の楊栄の詩にみえる句。自然の中に身をおき、俗世を離れる意。何ものにも縛られない自在な境地を読んだ言葉です。

1行目ではしっかりと墨を入れ、奇をてらう事なく深い線と確かな形を造ります。このじっくりとした1行目と対比するように「絶」の自由で広やかな動きで作品に躍動感を与えます。へんとつくりの関係も素晴らしく、周辺の余白を際立たせています。また、また密度の高い潤筆で書かれた「塵」の字が「絶」との疎密の変化と相まって、本作の一番の見どころとなっています。

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