闇を重ねて光を生み出す
吉川蕉仙(京都橘大学名誉教授)
平成17年に行われた愛知万博で発表された調和体の大作です。自詠。
堂々と悠然と筆を進め、緩む事なく一気呵成に書き上げられています。漢字と仮名の調和を保つべく、できる限り直線的に線を引き、平仮名までも漢字のもつ骨格の強さを共有したかのような統一感があります。本作で一番目を引く「光」は墨量豊かに思い切った用筆で、生命感あふれるみずみずしさを与えます。「光」という文字の画数が少ない点が、他の平仮名の画数と親近性が高くなり本作が漢字と平仮名の調和をより自然なものにしています。
強靭な線と確かな造形で仕上げられた本作は調和体という書のカテゴリーを越えて、書のすべてに共通する「書本来の魅力」を示した作として重要な作品と考えられます。









