8月7日から10日にかけて本学文化政策研究センター主催による「文化政策担当者のためのスキルアップ講座」が開催された。
「現場に根ざした文化政策を考える」をテーマに、文化政策学部の教員をはじめ、まちづくりの実践者らが講義やフィールドワークを行った。受講生は行政や教育委員会の文化振興担当者や大学生ら28人。
日 程 | 担当講師およびテーマ |
8月7日(水) |
● 端 信行(本学文化政策学部教授)
(1)文化政策の新しい考え方-施設からソフトへ-
(2)実習「ミュージアムを例とした利用者調査と評価」
(3)ゼミ方式によるまとめ
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8月8日(木) |
● 織田 直文(本学文化政策学部教授)
(4)今、なぜ臨床学的まちづくりなのか
(5)見学「商店街見学とまちづくり提案の検討」
*ゲストスピーカー 今西 仁(ガリバーアクティブ95委員会委員長)
(6)ゼミ方式によるディスカッション
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8月9日(金) |
● 金武 創(本学文化政策学部助教授)
(7)地域文化経済の基礎構造
-グローバル経済とボランタリー経済-
(8)パブリックスペースをどう生かすか
-再開発事業に異論有り!-
*ゲストスピーカー 平 克彦(ホテルブライトンシティ山科総支配人)
(9)地域文化開発の可能性
-カフェとパブリックアートから考える-
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8月10日(土) |
● 小暮 宣雄(本学文化政策学部助教授)
(10)あなたのアーツ観をひっくりかえす
(11)もう1つのアーツプレースを見つける
(12)公開プレゼンテーション
「自分なりの文化デザインへ」
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「文化政策担当者のためのスキルアップ講座」を終えて
小暮宣雄(本講座コーディネーター)
この講座は、京都府リカレント教育推進協議会の委託を受け初めて当センターが実施したもので、4日間、12コマの短期集中型の講座としてコーディネートされた(8/7~8/10)。12コマと書いたが、10日の各自文化デザイン発表は終了時間を大幅に延長することになった。またそれ以前の3日間とも、講義終了後にも講師を囲んでわがまちの実情を交換した。さらにそのあと自発的に京都の展覧会やライブを視察する人達が出るなど、実に活発な4日間であった。
終わってみれば4人の講師それぞれが担う文化政策の断面がエッセンスとして凝縮して伝達でき、中身の濃い学習機会を提供できたと思う。もちろん、幸いにも熱心な受講生が各地各層から来ていただたいたからであるのはいうまでもない。ミュージアム利用者調査などを実際に行ってもらうため定数を20人としていたが、実際には30人の申込みがあり嬉しい悲鳴をあげることになる。
受講者は関西が中心ではあるが、泊まりがけで関東各地や岐阜、岡山、高知からも参加があり地域文化の違いと大切さを知る機会ともなった。また自治体で文化行政を担当する職員やホールスタッフ、文化振興に関わる財団職員などがメインではあったが、文化起業を行っている人や市民活動を行っている語学教師、大学生や卒業後も研究している人など、実にさまざまな所属からの参加があった。
講座の流れは、まず端信行教授より文化政策の新しい考え方とミュージアム利用調査実習、次に織田直文教授から臨床的まちづくりと商店街見学・提案、3日目は金武創助教授によるグローバル経済とボランティア経済の話や再開発事業視察がそれぞれあり、最終日小暮がアーツマネジメントの最前線を報告したあと、まとめとして受講者発表を行うというもの。全体を通して、次年度以降の手応えを充分感じさせていただいた講座であったと思う。