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コラムVol.1
障害? 障がい?

このコラムでは、以下の内容を取り扱っています。

  • 障害には個人モデルと社会モデルの2つの視点がある。
  • 個人モデルは障害者に障害を治すことを強いるが、社会モデルは社会が変わる必要があると考える。
  • 社会モデルは障害者の社会参加を促進し、イノベーションにもつながる。
  • サポートリンクスは社会モデルに基づいて障害のある学生や先生のサポートを行う。
  • 障害者の呼称は個人の選好が優先される。

以下、コラム本文をどうぞ

 障害というと、心身の機能が悪くなって(うまく動かなくなって)生活に支障が出ている人をイメージされると思います。ゆえに『障害者』という呼称は本人が悪いわけでもないのに、『害』されているという字を選ぶのはおかしい、と考えるかもしれません。

 しかし、そうした素朴なイメージは正しいでしょうか。

 実は、障害には2つの視点があります。障害が個人の中に存在するという『個人モデル』と、障害は障害のある人の社会参加を前提にしていない社会側にあるという『社会モデル』です。

 『個人モデル』の視点では、確かに『害』の字を充てるのは良くないかもしれません。しかし、『個人モデル』が原因となり、障害者に対し、障害のない人(健常者)に近づく(障害を治す)ことを強いた経緯が反省され、今は『社会モデル』に基づく理解が世界共通の常識となっています。

 『社会モデル』に立つと、障害の『害』の字は、差別的な意味を持ちません。障害があっても(高齢者になっても)望む生活を送ることが出来るようにするには、社会が変わる必要があるという事実があるに過ぎないのです。

 社会を変える例を1つ挙げると、スマートフォンにアクセシビリティ機能があることをご存じですか? アクセシビリティ機能の1つに、画面に表示されている文字を読み上げてくれる機能(スクリーンリーダー)が実装されています。

 iPhoneではVoice Over、AndroidではTalk Backと言います。もし視覚に問題があったとしても、スマートフォンの画面に表示される情報を聴覚によって得ることが出来ます。同様の機能は、Windowsにもナレーター機能として実装されています。

 このように、障害の社会モデルで物事を捉えると、様々なプロダクトやサービスのイノベーションを促進することもできる、というわけですね。

 サポートリンクスでは、社会モデルに立ち、障害のある学生のサポートを行っています。また、そうした学生さんを指導する先生方の知恵袋として、コンサルテーションも行っております。お気軽にご相談ください。

※障害者自身が自分に対する呼称をどのようにして欲しいと思われるかについては、このコラムの内容とは関係なく、個人の選好が優先されることにご留意ください。

(執筆者:大野)