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コラムVol.3
大学と高校(成人と児童生徒)の違い

このコラムでは、以下の内容を取り扱っています。

  • 成人である学生は権利の行使能力をフルに備えているため、親が代わりに支援を求めることはできない。
  • 大学では、授業内容や評価基準を変更したり、教職員がスケジュール管理を代行することはない。
  • 支援を必要とする場合、自身の事情を示す書類を用意し、合理的配慮を受ける資格があることを証明する必要がある。
  • サポートリンクスは、障害のある入学予定者の方に対する入学前相談を受け付けている。

以下、コラム本文をどうぞ

 新入生のうち18歳で入学する方は2つの大きな変化に直面します。一つは『成人と未成年』の違い、もう一つは『大学と高校』の違いです。障害学生支援において、この2つの違いはどのような違いになるのでしょうか。

成人と未成年

未成年は法律により保護されています。例えば未成年取消権(親等の同意を得て行うべき契約行為について、同意を得ていない場合は契約を取り消すことができる)を行使して、悪徳商法等による被害から自分を守ることができます。この例のように、未成年は権利の主体者である一方、自分のことを自分で決める権利(自己決定権)に一定の制限を受けているため、例えば親が監護権をもとに、子どもに内緒で高校に相談して、授業の受け方等を調整することもできたわけです。

 他方、成人は権利の行使能力をフルに備えています。ゆえに、原則、親が学生さん本人に成り代わって、大学に対して支援を求めることはできません。したがって、学生さん本人が自ら手続きをして、支援をリクエスト(配慮申請)することが必要となります。

大学と高校

高校までの教育場面では、進級や卒業に導くのは学校の責任として捉えられています。ゆえに、生徒さんのニーズを教師が汲み取って、その生徒さんに合う教材を手配したり、カリキュラムを一部変更したり、場合によっては教員を加配したりする手続きを学校が行います。

 また、提出物等の課題が出されていない場合、高校では教師がその生徒さんに声を掛けたり、補習に呼び出したり、時間の管理も含め、様々な手伝いを提供します。

 大学で支援をリクエスト(配慮申請)した場合はどうでしょうか。授業を受けること、試験の機会を利用できること等、学修環境にアクセスすることにフォーカスした措置が取られることがあっても、その学生のために授業内容を変更したり、評価基準を下げたりすることはありません。

 個人のスケジュール管理も、教職員が責任を持つことはありません。学生さんが自ら調整し、学ぶことを期待されているのです。

 もし、支援を必要とする場合、自身に事情(障害や病気)があることを示す書類を自ら用意し、自分が合理的配慮(コラムVol.2参照)を受ける資格があることを証明する必要があります。

 いかがでしょうか。大学入学を境に、ガラッと変わる学びの場。学生生活に必要なスキルを身に付ける準備を後押しするため、サポートリンクスは、障害のある入学予定者の方に対する入学前相談をお受けしています。

(執筆者:大野)